お金

フリーランスや中小企業社長が知っておくべき年金保険の勘所

サラリーマンのときにはほとんど意識しないものの、フリーランスや起業して社長になったら、年金のことが妙にきになりませんか?

最低限おさえておいたほうが良いことだけご説明します。

年金の位置付け

社会保障は次のように分かれています。

  • 社会保険(年金、医療、介護)
  • 社会福祉(障害者福祉、母子福祉)
  • 公的扶助(生活保護)
  • 保健医療・公衆衛生

年金は社会福祉だと勘違いしている人が多いのですが、年金は「保険」になります。

なので、保険料の負担があって、年金の受給があります。

ちなみに、日本の年金の所得代替率は36%と意外と低いです。

年金の被保険者の種類

第1号被保険者

自営業フリーター

第2号被保険者

会社員、公務員

第3号被保険者

第2号の配偶者

年金の仕組み

1〜3号まで全部1階の国民年金には少なくとも入っています。

会社員、公務員には厚生年金という2階部分があるということです。

任意で3階部分には

第2号には企業年金、厚生年金基金。

第1号には付加年金、国民年金基金がある。

誤解しがちなのは、国民年金と厚生年金は同じレベルの概念ではありません。

厚生年金に入っていると、国民年金にも入っているということになります。

国民年金に入っていると、将来、老齢基礎年金をもらうことができます。

ただ、10年(120ヶ月)以上加入していないと受け取れない。

満額もらうには40年加入する必要があります。

2017年現在の満額は、年間77万9,300円

一ヶ月にすると6万4,000円程度です。

厚生年金に加入していた場合、老齢基礎年金に加えて、老齢厚生年金をもらうことができます。

厚生年金は給与によって保険料が違うので、老齢厚生年金は払った保険料に応じて金額が増減します。

ちなみに、給与が安かったら、老齢厚生年金が少なくなるから、保険料が安い国民年金のほうがいいのでは?

と思っているかたが時々いますが、それは間違いです。

まず、厚生年金の保険料は、雇用者と被保険者で折半します。つまり半分になります。

一番安い給与は101,000円以下ですが、保険料は17,818円です。これを折半するので、8,909円が毎月被保険者が払う保険料になります。

国民年金は16,490円なので、保険料の負担はずっと安く済むことになり、将来も老齢基礎年金に加えて、老齢厚生年金がもらえることになります。

老齢厚生年金は、一番安い給与でも、40年フルに加入した場合、

98,000(標準報酬月額) × 5.481/1000(生年月日に応じた率) × 480(加入月数) = 257,826円

を毎年もらえることになります。

詳しい計算方法は以下を参照ください。

老齢年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)

老齢基礎年金が77万9,300円なので合わせると、

103万7,126円

になり、1.33倍に増えるということです。

なお、社長の場合、保険料が折半といっても、会社が負担するので、自分が負担しているのとかわらないよ、というかたも、

計算すると国民年金よりも得なのがわかると思います。

先ほども書きましたが、一番安い厚生年金の保険料は折半しない場合17,818円です。

国民年金は16,490円です。厚生年金の保険料は国民年金の保険料の1.08倍です。

それなのに、将来受け取る額は1.33倍なのです。

なので、たとえ会社負担分も含めた保険料を考えても、厚生年金のほうがお得です。

ちなみに、第3号被保険者は老齢基礎年金のみもらうことができます。

国民年金の保険料を納められない場合

2号被保険者は基本は給与から天引きされるので、納められないということはないと思います。

1号被保険者で、納め忘れた場合や納められない場合があるかもしれません。

納め忘れても、2年まではそのままの金額で納付できる。2年を過ぎた場合、5年までは利子(加算金)をつけて「後納」できる。5年以上前のものは納付できません。

また、払えない場合は申請すると、免除してくれます。

免除する場合は、前述した「10年以上加入しないともらえない」の10年にカウントすることができます。

しかし、老齢基礎年金の金額や少なくなってしまいます。

ちなみに、免除は10年まで「追納」できます。全額追納すれば将来の年金額が減らされることはありません。

任意加入を利用して、未納期間を埋めることもできます。

本来60歳までしか納められないが、65歳まで延長できる制度。

ただ、後納とどちらがいいかといえば、なるべく後納のほうがいいです。

というのは将来はもっと年金の払う額が上がっている可能性があるから。

厚生年金が国民年金より優遇されている点

収入が多いほど、もらえる年金額が増えるというのは上述した通りですが、それ以外にもメリットがあります。

障害年金について

障害年金は、国民年金だと障害等級2級までしか支払われないが、厚生年金だと障害等級3級まで支払われる。

遺族年金について

遺族年金は、国民年金は子供がいない場合はもらえないが、厚生年金なら子供がいなくても受け取れる。

厚生年金は何年以上入ると厚生年金と認められるの?それとも、額によって、障害年金や遺族年金の額も段階的に変わるってだけ?

障害年金や遺族年金は免除を受けた期間があっても減額されない。

偶者が死んだ場合

国民年金の場合、

遺族基礎年金

18歳未満の子供がいる場合、もらえる。

死亡日の前日において、納付、免除、猶予の期間が加入期間の2/3以上であれば。

支給額は77万2800円で、子供2人までは一人につき22万2400円。3人目以降は7万4100円が加算される。

寡婦年金

妻が60歳〜65歳の間もらえる。

死亡一時金

妻だけでなく、家族ももらえる可能性がある。

12〜32万円ずつ。

死亡したのが会社員だった場合

遺族厚生年金

夫がもらうはずだった、老齢厚生年金の3/4もらえる。

300ヶ月未満の人も、300ヶ月かにゅうしていたとみなされて計算してくれる。

中高齢寡婦加算

20年以上厚生年金に加入していた夫が死亡したときに40歳以上の妻がもらえる。

今は自営業でも、25年以上厚生年金に加入していた人がなくなった場合も、遺族厚生年金がもらえる。

加給年金

厚生年金に20年以上加入していると、年金を受け取るときに配偶者や小さな子供がいる場合は、「加給年金」という特別な年金がもらえます。

独身者はもらえない。また、子供が18歳以上の場合も配偶者が年上の場合ももらえない。

配偶者が65歳以上になると支給停止される。

育児休業周り

育児休業中の厚生年金の保険料は免除される。本人負担分、会社負担分ともに免除。保険料免除制度と違い追納しなくても払ったものとして計算されるので、年金額が減ることはない。

育児休業から復帰後、子供の養育のため保険料が減ってしまう場合、3歳までは育児休業前の標準報酬月額で計算される。

この育児休業周りの優遇は、国民年金の人にはないので、不公平という批判があります。

会社の健康保険

厚生年金加入者が入る健康保険は、国民健康保険に比べると有利な点があります。

働けなくなった際の傷病手当金や出産手当金がでます。

企業年金に加入していた会社で働いていた場合

10年以上働いていた場合は、将来年金がもらえるので請求できる

10年未満の加入者は企業年金連合会に請求してください。

海外の年金に入っていた場合、貰うときはどのようにもらうの?

過去の厚生年金基金の確認方法

厚生年金基金は年金定期便の基金加入欄で確認出来る。

企業年金連合会に移管されてる場合もあるので、問い合わせる

企業年金は過去の会社に問い合わせるしかない。

確定拠出年金(企業型)は退職時に何の手続きもしていない場合は、国民年金基金連合会に自動移管されてている場合がある。手数料はとられるので資産は減っている可能性がある。

3階部分

確定拠出年金(企業型)

企業が出す。

確定拠出年金(個人型)

個人が出す。

確定拠出年金って運用成績で決まるけど、寿命が長くなる分はどうやってまかなうの?というのがまだ疑問です。

財形貯蓄、元利合計550万円まで非課税。

年金や住宅取得以外の目的で払い出すと課税される。

留学する場合

留学などで海外に住むとき、実は国民年金の義務なくなる。払わなくても、「合算対象期間」(から期間)として資格期間にはなる。

ただ、払ってないので、将来の年金額は減る。減らさないためには、国民年金に任意加入する。

厚生年金の保険料を抑える方法

保険料を決める標準報酬月額は、4〜6月の残業代を含めた給与できまります。1年間の保険料も小さくなるので、この期間の残業を抑えるようにとよくおすすめされます。

ただ、忘れてはならないのは、保険料は減るけど、将来老齢厚生年金も小さくなる、ということです。

年金はもとがとれるの?

保険料を払わないのは受け取る権利を放棄することです。

実は、年金の半分は税金で賄われているので、税は負担するけど保険料を払わないというのは矛盾した行動です。

それでも、本当に元がとれるか心配だという方のために計算してみました。

ちなみに、受給開始の65歳から、平均して男性は15年、女性は20年は生きています。

今後は医療などの発展でさらに伸びる可能性があることを意識してくおいてください。

40年間、国民年金だけで通す場合

16,900円を40年間で、7,804,800円。

受け取るのは、年780,0100円

なので、受給開始10年で元がどれる。

サラリーマンとして一番安い標準報酬月額で40年間保険料を払った場合

上述した通り、年間に受け取るのは、

103万7,126円です。

保険料は雇用者と折半しているので、8,909円です。

これを40年納めると、

427万6,320円です。

なんと受給開始から4.1年で元が取れてしまいます。

厚生年金に40年加入したが経営者なので折半分も負担すると考えた場合

経営者としては給料安すぎかと思われるかもしれませんが、わかりやすいように先ほどと同じく一番安い標準報酬月額で考えます。

年間に受け取るのは、103万7,126円です。

折半しないので月の保険料は17,818円とします。

40年加入すると855万2640円納めることになります。

なので、8.2年で元が取れることになります。

年金は崩壊しないの?

国民年金は未納者が4割いると言われています。なので、崩壊しないか心配する人が多いです。

ただ、それは第3号や免除者も含めている数字で、それらは計算にもりこまれています。

基本的にやばくなったら保険料をあげればいいだけなので、崩壊することは考え難いです。

また、すでに半分くらいは税金で賄われている現状があるので、国家財政がつぶれないかぎりは年金も崩壊することはないと考えられます。

保険料をお得に納める方法

保険料はクレジットカードで払えばポイントがたまる