自重トレーニングのメニューの組み方についてご説明します。自重トレのYouTuberさんのお話を聞いていると、「この種目がおすすめ!」とかただ一つ一つの種目を説明されるだけなので、それを全部やってしまうと膨大な種目数になってしまいます。なので、限られた時間で行うメニュー全体をどう組んでいくかをご説明します。また、初心者が上達するにつれてメニューも変わっていくのですが、他の解説記事だとどのような基準でメニューを組み直していけばいいかがわかりにくかったです。なので、本記事では具体的な種目についてはあまりお話ししませんが、その代わり一貫して変わらない本質的なの考え方をご説明します。ご理解頂ければ、どんなレベルになっても柔軟にメニューを組み直せるようになります。
ちなみに、最近自重トレーニングが流行っている要因の一つである「プリズナートレーニング」という本のやり方を、本記事のベースにしています。なので、読んだことが無い方は、一度ネットのまとめ記事や動画で良いので見て頂くと、理解しやすいと思います。ただ、プリズナートレーニングも説明が足りない部分があったり、改善できる点があるので、本記事はそこを補うものになっています。
もくじ
まず大きな筋肉から鍛えよう
もちろん好みによって自由なのですが、大きな筋肉から鍛えていくのがおすすめです。大きな筋肉の方が消費エネルギー大きく、ダイエットにもなりますし、血流が良くなり健康効果が高いためです。
また、大きな筋肉は身体の中心に近いところにあるため、鍛える過程で、身体の外側の小さい筋肉も動かすので、結果的に全身を鍛えていることになるためです。
なので、胸(大胸筋)、脚(大臀筋、四頭筋)、背中(広背筋)から鍛えていくのがおすすめです。
種目としては、胸は基本はプッシュアップなのですが、最初からプッシュアップできる人は少ないので、プッシュアップの強度を下げたバージョンから始めてください。これはプリズナートレーニングに様々なバージョンが説明されていますが、ネットにも出ているので調べてみてください。例えば、立って壁に手をついて行ったり、膝をついて行うプッシュアップなどあります。
脚は基本はスクワットです。これも強度を下げたものから始めてください。
背中は懸垂なのですが、これも強度を下げたものから始めてください。家に懸垂台がない人がほとんどだと思いますが、机を利用した斜め懸垂などもあります。
初心者は全身法から始め、徐々に分割を増やす
毎回のトレーニングを部位に分けずに全てやることを全身法と言います。日によってやる部位を変えるのを分割法と言います。
最初は、胸、脚、背中の3種目なので、そんなに時間はかからないので、1回のトレーニングで全てできると思うので、全身法で良いです。もし、時間がかかってしまう人は分割してもかまいません。
そのうちに、レップ数、セット数が増えてきて時間が長くなってきます。すると、当然1回のトレーニングでは終わらなくなってきますので、徐々に分割を増やしていきましょう。例えば、
- 脚
- 胸と背中
の2分割などが考えられます。
さらに、肩や腹筋なども鍛えたくなってくると思うので、そうすると、3分割、4分割と増やしていきましょう。
初心者の方は、分割したらそれぞれの部位を鍛える頻度が減ってしまうではないか、と心配するかもしれません。頻度を減らすくらいないら、全部位のレップ数、セット数を減らして、1回で全部位鍛える方が良いのでは?と思うかもしれません。つまりボリュームを薄める代わりに全部位を一回で鍛えるということです。
しかし、やはり分割の方が良いです。というのは、筋肉の性質として、強い負荷を与え筋繊維が受けたダメージが大きい程、そのダメージから回復する際に筋肥大するためです。
つまり、負荷が弱くてダメージが無い場合は、筋肥大しないためです。しかも、回復には数日かかると言われています。なので、同じ部位を毎日やっても回復しきってないので、筋肥大しづらかったり、怪我をしやすくなってしまいます。そのため、ある部位を鍛えたら次はその部位を休ませて他の部位を鍛えるという分割法は合理的なのです。
トレーニング時間の長さの基準は?
ここまでトレーニング時間が長くなったら分割というお話をしてきました。しかし、この長いかどうかというのはどのような基準で判断すればいいのでしょうか?
もちろん仕事や学校などやるべきことがおろそかになってしまうのは長いと判断はできます。では、仮に仕事も学校も行っていないニートの方や定年退職された方は、無制限にトレーニングをしたらやっただけ筋肥大すると考えられるのでしょうか?
極論から考えますが、どんなに長くても食事と食事の間には終わるべきでしょう。筋肥大するためにはきちんと食事をして栄養を摂取する必要があります。なので、トレーニング時間が長いせいで食べるはずの食事が食べられないというのは避けなくてはなりません。
トレーニングでは、それまでに食べた食事で得たエネルギーを使います。なので、一度トレーニングをしたら、次のトレーニングは早くても次の食事をした後にする必要があります。なので、食事と食事の間に2回のトレーニングをすることはできません。2回目のトレーニングは力が出ないので十分に負荷をかけられません。筋トレをある程度やってきた人からして見れば当たり前の話ですが、私が始めた頃はこんなことも知りませんでした。
食事と食事の間というのは人にもよりますが、大体4〜6時間になるのではないでしょうか。さらに、食事してすぐには胃のなかに食べ物があるので運動はできません。1時間程度は待つ必要があります。なので、極論で考えてもトレーニングできるのは3〜5時間ということになります。
しかし、実際は3〜5時間というのは長すぎます。最初の方の種目は十分な強度で行うことができるかもしれませんが、後半の種目は疲れ果てていつもの半分の強度もできないと思われます。トレーニングというのはなるべく毎回ベストか少なくとも前回と同じ強度で行う必要があります。十分な強度を保てる時間はやっていくうちに感覚でわかってくると思いますが、個人的には1時間、長くても1.5時間程度が限界かと思います。
なので、強度を上げたり、種目を増やしたりして、時間が伸びていった場合、1〜1.5時間を超えたあたりで分割を考えるべきです。ちなみに1〜1.5時間というのは上級者の方の場合で、初心者の方やそこまで筋トレに時間を割きたくな方はもっと短い時間で分割を考えても全然問題ないです。
また、次の記事で説明したように、トレーニングは短い時間に強度を詰め込む方が効果が高くなります。なので、基本的にトレーニング時間はなるべく短くしていく意識を持ちましょう。

適正強度を探すフェーズがある
これはウェイトトレーニングでも同じですが、ある種目を始めたら、その種目での自分にとっての適正な強度を探す必要があります。いきなり高強度でやってしまうと怪我をするリスクがあるためです。
プリズナートレーニングでも新しい種目に移行したら、1や2などのレップ数から開始するように書かれています。これは徐々に回数を増やすことで、怪我を防止する狙いでしょう。
私もこの方針には賛成です。最初は低レップ数から開始し、毎回1レップずつ増やしたりします。ただ、あまりにも負荷が弱いと感じたら、一気に3レップ増やしたりします。強度が十分高くなってきたら、上げ幅を小さくします。
そのようにして、自分にとって適正なレップ数を探していきます。懸垂やディップスなどは、チューブを使って強度を下げることができるので、何色のチューブで何レップやるのが適正なのかなども探していきます。ただ、怪我をしないように、十分低い強度から探していきましょう。
新しい種目に移行したら、必ずこの適正な強度を探すフェーズがあると考えましょう。
適正な強度が見つかれば、そこからはその強度で繰り返し日々トレーニングをしていき、成長とともに少しずつレップ数を上げていきます。
10レップを超えてきたらディセンディングセット
プリズナートレーニングには基本的にストレートセットでメニューが紹介されています。ストレートセットというのは全てのセットで同じレップ数動作を行うというものです。プリズナートレーニングでは、初心者の方が怪我をしないように少しずつレップ数を上げていく方針なのでストレートセットで書かれているのだと思います。
確かに、1セット10レップできないような種目は、正しいフォームでできていなかったり、神経系を鍛えている段階なので無理にレップ数を増やすべきではないです。
しかし、正しいフォームで10レップを超えてできて、ある程度慣れてきたと思ったら、1セットくらい限界までレップ数を行っても良いと思います。限界まで行った後のセットはそれよりもレップ数を減らしても良いので、結果的にディセンディングセットになります。
ディセンディングセットというのは先ほどの記事で詳しくメリットを説明していますが、ピークのレップ数のセットの後のセットではレップ数が下がっていく組み方です。ウォームアップセットをはじめに入れる場合もあるので、種目によってピークのセットが何セット目になるかはそれぞれですが、1セットは爆発的に力を発揮させるセットを作れば、成長は加速します。
ただ、30レップできてしまうような種目は限界までやっても、有酸素運動になってきてしまうので、ストレートセットでもいいと思います。そもそも30レップできてしまうようなら、もっと強度の高い種目に移行するべきです。しかし、例えば、脚で強度が最高なのは片脚スクワットになりますが、これはやっていくうちに普通に50レップできてしまうようになってしまいます。かといってこれよりも強度が高い自重の種目はないのでストレートセットでやるしかないかなと考えています。
ドロップセットも導入しよう
ディセンディングセットを導入したタイミングくらいで、ドロップセットも導入も検討しましょう。
ドロップセットというのはマシンを使ってのトレーニングでよく使われる手法です。通常はある重量で限界までレップ数をこなしたら通常はそこでもう力尽きてインターバルに入ります。しかし、すぐにインターバルに入るのではなく、重量を下げてあと数レップこなすことでターゲットの筋肉を追い込むという手法です。これはトレーニングマシンだとピンを差し替えるだけで重量を変えられるのでよく行われています。
実は自重トレーニングでも種目によっては簡単に負荷を変えることができます。例えば、通常のプッシュアップを限界まで行ったら、すぐに膝着きのプッシュアップにすればドロップセット似たような効果があります。
プリズナートレーニングだとターゲットの筋肉ごとにSTEP化されているので、基本的には今やっているSTEPの一つ前のSTEPをドロップセットと考えれば良いと思います。
ただ、前のSTEPの可動域がハーフのものになっていたりするので、その場合は、フルレンジのSTEPまで戻った方が良いと思います。ハーフになってるだけだと、負荷が落ちていないのと、ストレッチ刺激がしっかり入らないからです。
また、懸垂などぶら下がる種目であれば、チューブを使って負荷を下げてドロップセットとすることもアリです。
ちなみに、プッシュアップのドロップセットを膝着きプッシュアップにする場合、普通に行うと体の角度が若干変わるので、刺激の入る角度が変わってしまう可能性もあります。他の種目でもこういうケースは多いです。でも意識して体幹の力の入れ方を変えたりすれば同じ角度に刺激を入れることもできます。そこは工夫してみてください。
適切にドロップセットが導入できれば、ターゲットの筋肉が熱くなり、疲れ果てる感覚を感じられるはずです。そうなれば、筋力、筋量ともに成長が加速します。
ただ、ディセンディングセット同様、ドロップセットも、30レップを超えるような有酸素運動化してきた種目に関してはやる必要はないです。
ディセンディングセットとドロップセットを導入することで、短い時間で強度の高いトレーニングをすることができます。ピークのレップ数をやるセットの後のセットは、同じレップ数をやろうというプレッシャーから解放されるので、短めのインターバルでどんどん進められるためです。また、筋肥大効果としても、なるべく短時間に強度を凝縮した方が良いとされています。ただし、ストレートセットよりも時間は短くなるのですが、疲労度はずっと高くなります。
大きな筋肉狙いの種目が有酸素運動化したら
片脚スクワットなど、最高強度種目なのに、30レップ普通にできるようになると種目が有酸素運動化してきます。筋肉もきついのですが、それよりも心臓がバクバクいっているのがきつくなってきます。もちろん、50、100とレップ数を増やしていっても筋肥大できるかもしれませんが、私の場合は、違うアプローチをおすすめしています。
そのような大きな筋肉を狙う種目が有酸素運動化してきたら、私はある意味ゲームでいうクリアしたと考えるようにします。そして脚の細かい筋肉を狙った種目を取り入れて行きます。
例えば、ふくらはぎ単体を狙った種目、すねの筋肉単体を狙った種目、ハムストリング単体を狙った種目など。これらは調べれば自重でできる種目が色々あります。
もちろん、片脚スクワットの強度は落とさないように続けていきます。さらに、短時間でできるように毎回タイムを計ります。短時間でやれば強度が上がるので、同じレップ数でもさらに成長が見込めます。しかも、時間が短くなる分、上述した細かい筋肉に割く時間も増やしていくことができます。
このように細かい筋肉狙いの種目を増やしていくことで、バランスの良い体つきになりますし、体の隅々まで鍛えられた健康的な体になります。
個人の美的感覚かもしれませんが、前ももだけバカデカいのに、膝から下が細いのはあまりかっこいいと思えません。
さらに、細かい筋肉を個別に鍛えていくことで、それらはスクワットでも使われる筋肉なので、スクワットのパフォーマンスが上がっていくという好循環も見込めます。
ディセンディングセットを導入する目安として10レップ、有酸素運動化する目安として30レップという数字をあげましたが、当然種目によってかなりばらつきがあります。特に脚の細かい筋肉、例えばふくらはぎやすねを単体で狙った種目はかなり回数ができる傾向にあります。やりながらご自身の感覚でレップ数を判断していってください。
メイン種目とサブ種目
やはりその日のトレーニングの最初にやる種目というのは、強度を一番高くできます。なので、一番伸ばしたい種目を最初にもってくるべきです。私はそれをメイン種目と呼んでいます。
基本的に大きな筋肉を狙う種目をメイン種目にするのがお勧めです。
ただ、大きな筋肉を狙う種目も複数やりたいこともあります。例えば、私の場合、片脚スクワットには、ピストルスクワットとシュリンプスクワットがあるのですが、両方同じ程度重視しています。
その場合は、交互に先にやる種目を変えます。つまり、今回はピストルスクワットをメイン種目にして先にやり、次にシュリンプスクワットをやり、次回の脚の日のトレーニングは逆にするということです。
レップ数が上がってくると、メイン種目級の種目を両方同じ日にやると時間がかかりすぎてしまうようになってきます。その場合は、潔くどちらかだけをやるようにし、やる種目を交互に変えます。つまり、今回はメイン種目をピストルスクワットにし、シュリンプスクワットはやらず、次回の脚の日はメイン種目をシュリンプスクワットにし、ピストルスクワットはやらないという形です。
サブ種目についても、種目が多くなってくると時間内に終わらなくなってきます。なので、サブ種目も交互にやる種目やらない種目を振り分けていくことになります。
サイクルは週にこだわらなくてもOK
分割している場合、最初に始めた部位に戻ってくきて1周することを1サイクルと呼びます。筋トレYoutuberは当たり前のようにカレンダーの1週間を1サイクルで考えている方が多いです。
筋トレYouTuberはそれが本職なので週5回、6回とか筋トレしている人が多いですが、普通に働いている人は週3回とか多くても週4回ではないでしょうか。それだと1週間で1サイクルまわすのが難しいです。
でも、そこはそんなに拘らなくてもいいと考えています。私の場合は、大体10日で1サイクルですが、成長しています。
上述したように毎回やらない種目もあるので、種目によっては20日間ほど空いてしまうものもありますが、強度が落ちることはありません。
確かに、週単位で休日が決まっている人が多いので、週と筋トレサイクルを一致させた方がリズムを作りやすいというのはあります。しかし、そもそも「週」という単位は人間社会の都合で決まっているものなので筋肥大という生理現象には何の関係もありません。なので、そんなに拘らなくてもいいと考えています。
計測と記録
筋トレメモを書こうというのはよく言われます。
メモなんて書かないという人もいますが、私の場合は、モチベーション維持のためにやはり必要と思います。数字で管理していく方が、過去の自分との勝負をすることになるのでやる気につながります。
当然、実際に行ったレップ数は記録します。可能ならドロップセットのレップ数も記録したいところですが、煩雑すぎると感じる方は、ドロップセットはレップ数は記録せず行ったかどうかだけを記録するだけでも良いでしょう。
あとは、かかった時間です。ただ、細かく全てのセットとインターバルの時間を計るのは逆に大変なので、絞って計ります。
私の場合は、メイン種目にかかった時間とトレーニング全体の時間だけ計ります。
ウェイトトレーニングの方が、重量という数値化しやすい項目があるのでモチベーションを保ちやすいと思われがちですが、自重トレーニングの場合も、時間という概念を導入するとかなり細かく数字でパフォーマンスを計測できるようになります。その日の体調の良し悪しでも、時間が短くなったり長くなったりするので面白いです。
おそらく記録のためのスマホアプリなどもあるので使ってみて使いやすいものを使ってください。ただ、私はノートPCのエクセルで管理しています。エクセルだとほぼフリーになんでも書き込めるので、細かい条件や感想なども書き込めるためです。
ジムだとパソコンを持ち込んでメモするのは気が引けますが、自重だと自宅でできるので人の目を気にしなくていいですからね。
このような記録でモチベーションを維持するのと、今後のメニューを改善するのに活かしていきます。
私の場合は、時間がある時にまとめて今後行う1サイクル分のメニューを全て書いておき、実際に行った部分を色を変えていくというスタイルで記録していきます。もちろん、レップ数など予定と実際に行ったものが違った場合は、実際のものに修正します。
さいごに
単に〇〇という種目を○回○セットやりましょう!というのではなく、成長するにつれてどのようにメニューを組み直していいかがわかるように本質的な部分を説明させていただきましたが、ご理解いただけたら幸いです。
そもそも、自重トレーニングのメリットを知りたいという方は以下をご覧になってください。こちらも独自の視点でご説明しています。
